3文字限定話1(1〜30)

ツイッターで「○○は「漢字1」「漢字2」「漢字3」の3文字を使って文章を書きましょう」という診断メーカーがあるのをご存知でしょうか。
某様と一緒にスカイプで話している時、よくこれを使ってお題を貰って小話を書いているのですが、溜まりに溜まったので、纏めてアップすることにしました。
甘凌はいつも書いているので(個人的にこれで甘凌をよく書いているため。)あえてそこは外し、凌統中心に孫呉のキャラや、西涼の二人、諸葛亮が多めです。
色々書いていますがいつもざっと書いているので、内容は似たり寄ったりかもです(特に策凌)。また、長さも長短まちまち。イラストを描かれる方の落書きのようなものだと思ってください。
暇つぶしにでも読んで下さればと思います。
尚、時々話を書くのに夢中になって、ちゃんとお題に応えていない場合もあります;
※印のあるものは性描写ありです。



▼クリックでお題に飛べます。
1凌統2凌統3甘寧4馬超5岱凌6権凌7陳勤と凌統8陸凌9諸葛亮と馬岱10馬超と馬岱11呂蒙と凌統(※)12策凌(※)13馬超と甘寧14陸→凌←甘(※)15凌岱16周瑜と凌統17黄蓋と凌統18ヤンデレ凌統19索凌20超凌21趙凌22泣き虫凌統23甘凌24陸凌25権凌(※)26丕凌27策凌(※)28陸凌29策凌30呂凌




凌統は「困」と「隠」と「中」を全部使って文章を作りましょう。
こんな時に限っていつもどんな表情で心を隠していたか、凌統はすっかり忘れてしまった。
 負傷した甘寧は未だ目を覚まさない。凌統は寝台の縁に座って、毛布の中に手を滑らせる。大丈夫、体温はある。
「早く目ぇ覚ませっての・・・」
 ああ、俺はどんな表情をしているのだろうか。
凌統は困った顔で、甘寧の頬に唇を落とした。



凌統は「恥」と「持」と「子」を全部使って文章を作りましょう。

子として、この状況を恥じない者はいないだろう。仇を討てていないどころか、目の前で楽しそうに杯を傾けているその姿には憎悪しか浮かばない。そんな自分の感情をそっと隠して、凌統は舞いを舞うため剣を持った。



甘寧は「恥」と「帯」と「奪」を全部使って文章を作りましょう。
「待てコラ甘寧!」
甘寧は悪戯に凌統の帯を奪い、建業の城中を走り回っていた。凌統は追いかけてこなければいいのに、着物が落ちぬようにしっかと腕で腹のあたりを押さえつけてながら、顔を真っ赤にして追いかけてくるのだ。
凌統に恥をかかせたいわけじゃない。むしろ奴の活きのいい足が他の奴の目に止まるのは嫌だった。
(こうなったら・・・)
どこか人気のない所まで走って、押し倒すしかない。甘寧は、僅かに獣の目を凌統に向けてさらに足を速くした。



馬超は「喜」と「純」と「子」を全部使って文章を作りましょう。
危うい子供と、黄忠の目には映っていた。傍にいた従弟がこちらを振り向いて、“貴方の言いたいことは分かっている”と笑顔で語ってきたものだから、黄忠は軽く鼻であしらう。
ただし、錦馬超が味方となったことは純粋に喜ばしい。
「ここは一つ、若い者に言葉をやるとするかのう。」
武ではなく口で語ることは年を重ねてめっきり減ったが、あの若者には言葉が足りないのだ。



岱凌は「湿」と「掘」と「濁」を全部使って文章を作りましょう。
凌統に連れられて案内された場所は、運河を掘削している現場だ。
「へぇ、すごいねぇ。こんな大河、俺生まれて初めて見たよぉ。」
「はは、そうかい。」
そういって笑う凌統の顔が、濁った長江の川面に映って揺らいでいる。湿気の多い気温の中、馬岱は如何に早く二人きりになれるか考えながら、兵達が働く現場を見て穏やかに笑っていた。



権凌は「微」と「柔」と「味」を全部使って文章を作りましょう。
一人で初めて大量の魚を釣って、大喜びのまま帰路についていた凌統は、微かに人の声が聞こえて、そちらのほうを見た。
遠くに立派な邸が見える。興味本位で近づいてみると、柳の木が植えてある庭で、何人かの子どもたちが遊んでいるのが見えた。
着ている服が大分違う。きっと、高貴な人たちだ・・・。
「そこで何をしている?」
そっと木の影に隠れて見ていたら、そのうちの一人に見つかってしまった。慌てたせいで、魚籠に入れた魚がこぼれおちてしまい、いよいよ凌統は泣きそうになって、その場に立ち尽くしてしまった。
「魚を獲ってきたのか?」
自分と同じ年くらいの子が近づいてきて柔らかくほほ笑んだ。綺麗な碧い瞳をしている。
「は、はい。」
「お前が一人で獲ったのか?」
「はい・・・でも・・・初めて自分で獲ったから、父上に見せたくて・・・」
「そうか、誰も獲ったりはせぬ。私は孫仲謀という。名は何と言うのだ?」
「凌・・・公績です。」
「公績は、このあたりに住んでいるのか?」
「はい。」
「では、明日、一緒に遊ばぬか?」
そういって、握手を求められた。
それが、俺と孫権様の出会いだったんだ。



陳勤と凌統は「顔」と「棒」と「聖」を全部使って文章を作りましょう。

まず陳勤は凌統の顔を数度殴り、その末に近くにいた兵から木の棒を奪い取って打ちつけた。
兵たちの視線が全てこちらに集まっている。だが、陳勤は酔っているのだと凌統は酒のせいにすることで堪えていた。きっと明日になれば、全てこの男は忘れている。それだけ憐れな男なのだ。
けれど、次の言葉で状況は一変した。
「貴様の父の武も何ら凡愚であったのにな、どうして昇進できたのか分からぬ。貴様、もしや孫策殿に体を売り飛ばされたか!?」
陳勤は、凌統の神聖な部分に足を踏み入れてしまった。そうとは気づかず、陳勤は口を止めない。
「だから、私は貴様ら豪族などはすぐに切り捨てろと孫策殿に進言したのだっ!?」
血飛沫。
目の前には、頬に返り血を浴びた凌統が、剣を片手に立っていた。



陸凌は「病」と「怖」と「汗」を全部使って文章を作りましょう。

凌統は恐怖に怯えながらじっと寝台の上でうずくまっていた。
湿った空気が背筋をなぞり、流れ落ちた冷や汗がさらに冷たく感じる。
もうすぐ病んだ軍師が来る時間。
最早自分では、拒否することすらできないのだ。



諸葛亮と馬岱は「態」と「掘」と「赤」を全部使って文章を作りましょう

馬岱は諸葛亮に、陣営の端のほうへ連れてこられた。
そこには、一本の柱が天に向かって立っていた。
「ねえ、諸葛亮殿、この掘立柱は一体何?ここに櫓でも立てようってわけ?」
「いいえ、違います。」
羽扇の隙間から見えた諸葛亮の口元は、真一文字に結んでいて表情が読み取れない。
馬岱はいよいよ肩を竦めて困った態度を見せた。
だが、柱の土に隠れた部分が、やや赤く染まっているのが見えてしまった。
「・・・お仕事?」
「ええ。ここに埋まっている人物を、誰にも知られずに移動させてください。」
「また無理難題だねぇ。でも、いいよ。」
そう言いながら諸葛亮と別れた馬岱は、早速どちらの方角へ向かおうかと思案していた。



10馬超と馬岱は「頭」と「飲」と「勢」を全部使って文章を作りましょう。

馬岱は酒を飲みながら、馬超の話を聞いていた。
本当は、蜀の他武将たちもいたのだが、馬超はいつも穏やかに酒を飲む質なのだが、この日ばかりはいつも以上に頭に血が昇っていて、誰の手にもおえず、声を聞きつけた馬岱が話を聞くにいたったというわけだ。
「だから、俺がこの蜀という勢力に来る前の話をしていただけなのだ!」
「はいはい、わかったよ。若の言うとおりだね。」
錦馬超の話といえど、酔っぱらいの話には耳を傾けるべきではない。
若が寝てしまったら、後で尻ぬぐいをしに、皆に挨拶して回ろうと馬岱は思った。



11呂凌は「出」と「精」と「情」を全部使って文章を作りましょう

寝台から見える空は、既に朝焼けだった。
眠気はあるがまだ離す気はなく、凌統は出かけた欠伸を噛み殺しながら呂蒙に跨り腰をふった。
一夜の情けはずるずると続いて、何度も体を繋いでは精を放つ日々・・・。
「ねえ、呂蒙さん。俺たちのこれってっ・・・どんな関係なのかな、ぁ、」
「・・・・・・恋人ではなかろう。」
「だね。」
言葉にすれば、より胸が痛い。心の痛みが体の痛みになるように、凌統はさらに激しく動き出した。



12策凌は「変」と「舌」と「怖」を全部使って文章を作りましょう。

「う、あ、」
味わったことのない変な感覚に、凌統は腰を浮かせた。舌が尻を這う。武骨な指は体中をまさぐり、とうとう菊座に埋まってしまった。
「きっついぜ・・・。凌統、ちょっと力緩めてくれねえか。」
そういった小覇王から、衣が落ちる音が聞こえた。
流石に怖くなったが、主君からそのように言われては仕方がない。
凌統は無言のまま、言われるがままに力を緩めた。



13馬超と甘寧は「鬱」と「変」と「腹」を全部使って文章を作りましょう。

錦馬超とは言ったが、刃を交えてみるとどこか鬱々とした気を感じて、甘寧は間合いを取って、珍しく敵に話しかけた。
「てめぇ、意外と根暗なのな。」
すると、相手は目を見開いてすぐに辺りに響き渡るような大音量で叫び、槍を構えなおす。
「貴様、この俺を愚弄するか。」
「誰もンなこと言ってねぇだろ、変な野郎だな。」
「言っておくが、俺はお前が嫌いだ。」
「ああそうかい。そんな台詞、言われ慣れてるぜ。てめぇこそ、腹ァくくれや。」
「俺の腹の内など、貴様に分かるものか!」
「そうだな、分かるわけねえ、だからさっさとかかってこいや!」
甘寧は叫ぶや否や走りだしていた。



14陸→凌←甘は「濡」と「熱」と「色」を全部使って文章を作りましょう。

「悪いのは凌統殿ですよ。」
「だな、俺等を色を使って誘ったのはお前だ。」
珍しく同盟を組んだ二人は横目で合図をし、戸惑う凌統の二の腕を掴み、太ももを開かせる。
「えっ、何がどうなってちょ、離せよ!」
「そんな芝居はもういらないんですよ、凌統殿。」
「お前が色んな奴に足を開いてるなんざ、みぃんな知ってんぜ。」
その言葉を聞いて、凌統は一度目を見開いたが、どんどん妖しい熱を帯びていき、笑みさえ浮かべるようになっていた。
「・・・ああ、そうだったのか、あんたら・・・気づいちまったってかい。なら、いいぜ。相手してやろうじゃないか。」
少し濡れる程度では治まらなくなった俺は、何時からこんなに狂ってしまったんだろう。



15凌岱は「話」と「難」と「獣」を全部使って文章を作りましょう

何となく、話をしているだけだった。
段々と互いの話が面白くて、それから、時折話の中に混ざる無言の時も苦難に思わなかったから、一緒にいる時が多くなった。
ある日、互いについての話になった時、馬岱は何となく聞いてみたのだ。
「ねえ、君ってさ、いつも同じ感じだけど獣みたいになる時ってあるの?」
「あるよ?なんなら一緒に寝台に行ってみるかい?」
「あははぁ、ご冗談!」
とは言ったものの、凌統の目は本気だったことは、馬岱は分からないことにした。



16周瑜と凌統は「夜」と「汗」と「顔」を全部使って文章を作りましょう。

真夜中。凌統は一人建業を歩いていた。
周瑜の病が思わしくないと聞いた。
一度、昼間にも見舞に行ったのだ。でもその時に見た美周郎の顔は・・・蒼白を通り越して土気色をしていた。
長くはないと、そこにいる誰もが思っただろう。
まだ幼かった頃、周瑜に読み書きを教わったことがある。軍に入ってからは戦術も教わった。
だから、どうしてももう一度顔が見たくて・・・。
そっと窓辺から寝室を覗き込んで見ると、玉のような汗を浮かべてうなされている周瑜の姿がそこにあった。
初めて見る姿に、凌統はその場に座り込んでしまった。
早く、こんな夜は過ぎてしまえばいい。
どうかどうか、早く夜とともにあの人の苦痛が無くなることを願って。



17黄蓋と凌統は「根」と「酒」と「人」を全部使って文章を作りましょう。

酒の席であった。
黄蓋は厠へ向かおうと席を立ち、広間を出ると、一人夜空を眺めながら杯を傾けている凌統の後ろ姿を見つけた。
その背恰好は、昔見た凌統の父・凌操と酷く似ていたものだから、黄蓋はにっこりと笑って凌統へ近づいた。
「お主、何をしておる。」
「ああ・・・。ちょっと、静かに飲みたかったからさ。」
「若いうちはもっと騒がんといかんぞ。静かになど、儂のような人間がするものだ。」
「黄蓋さんが静かに飲んでるところなんか、見たことがないけどねえ。」
「お主は相変わらず捻くれてるのう。」
そういって、凌統の首根に鋼のような腕を巻きつけてちょっと締めてやると、凌統は体勢を崩し、杯を落としそうになって、一丁前にやめろと声を荒げてみせた。
「しかし凌統、お主はどんどん凌操に似てくるのう。」
「えっ、それ、本当かい?」
きっと無意識だろう。垂れた瞳を少しばかり見開いて、瞳を輝かせ見つめてくる凌統はどこか幼い。
「ああ。儂の知っている凌操そっくりだ。」
「でも・・・俺、顔形も武も、父上とは全然似てないぜ?」
「馬鹿者、そういうことを言っているのではない。ちょっとした仕草や、背恰好のことだ。お主自身は分からんだろうがのう。」
「・・・・・・そっか。」
ふと、凌統は笑った。こうして父親に関することになったら途端に素直になるのだから、まだ可愛気がある部類だな。
黄蓋は豪快に笑いながら、厠へと向かった。



18ヤンデレ凌統は「舌」と「楽」と「涙」を全部使って文章を作りましょう。

本当は好きだ好きだというあんたの舌を噛み千切りたい。
でも、辿りつけなかったから重ねた唇を噛み千切った。
本当は、あんた自身を噛みちぎってやりたいんだけどさ、あんたの首と胴を切り離してやりたいんだけどさ、あんたの眼球を抉りだしたいんだけどさ。
なあ、俺の何が好きなわけ?
こんな俺のどこが好きなわけ?
早く言ってくれよ、楽になりたいんだ。
あんたを討てないんだ、父上が見てるんだからさ、もっと罵れよ。
なあ。
どうしてあんたが泣くわけ?
あんたの涙なんて、見たくないよ。
どうして俺は、泣いてるわけ?

凌統に噛み千切られて唇が痛い。
甘寧は垂れた血を手の甲で拭った。
凌統はうわごとのように、泣くなと何度も呟いている。
(泣いているのはてめぇじゃねえか。)
甘寧はそんなこと言えず、ただ、凌統を両の腕で掻き抱くしかできなかった。
それでも凌統は相変わらず泣くなと呟いている。しかし、弱弱しく、甘寧の背に腕を回してきたのだ。
甘寧は、この凌統の行為が、その心を全て物語っているんじゃないかと思ったけれど、やはりかける言葉が見つからなかった。



19索凌は「寝」と「下」と「男」を全部使って文章を作りましょう

両節棍を教えてくれといって蜀からやってきた男は、自分よりも一回り小さい体躯をしていた。
顔も幼くて、陸遜と同じかそれくらいの年齢だと思った。
だから、あの軍神・関羽の息子という言葉は冗談だと思ってたのに。
少しコツを教えたら、めきめきと力をつけて凌統は純粋に驚いた。武の才は確かにあるようだ。
そして・・・
どうしてか、男の下に組み敷かれているこの現状。凌統は戸惑いながら、男を見上げた。
「え、何してんだよ、早くどきなって。」
「凌統殿、私は貴方が欲しい。一緒に寝てくださいませんか?」
「はぁ!?誰が!!ンなことしに来たんだったら、とっとと蜀に帰りな!」
「凌統殿・・・」
耳元で名を囁いた声は、どこかの誰かと似ていて、無意識に体が震えた。
いいように開発されてしまった自分の体が浅ましいと思いながら、凌統は舌打ちをした。



20超凌は「慰」と「掘」と「純」を全部使って文章を作りましょう。

一人の男と出会った。
その男は仲間とはぐれて、たった一人で彷徨い、挙句に深堀の溝に嵌まって足を負傷してしまっていた。
人を慰める言葉は持ち合わせていない。馬超は無言のまま男に手を差し伸べて、溝から引っ張り上げてやった。
「すまないね、ありがとう。」
言われて気付いたが、こうして純な感謝を述べられることは最近なかったような気がする。
(俺が正義を忘れていたとは・・・迂闊であったな。)
「俺は馬孟起。貴様の名を聞こう。」
「あんた・・・錦馬超だったってかい。・・・俺は、凌統だけど。」
「ならば凌統。貴公の脚を俺の陣で直していかぬか?」
「俺、あんたの敵なんだけど。」
「敵であろうと、俺は負傷している者を手にかけるようなことはしない。傷を癒し、それから正々堂々勝負をしようぞ。」
「・・・わかった。じゃあ、ちょっとお邪魔するとしますかね。」
そうして赤い胴着を纏った敵を背におぶり、錦馬超は陣営に引き返した。


21趙凌は「絶」と「力」と「濁」を全部使って文章を作りましょう。
「趙子龍、参る!」
その声を聞いて凌統は驚いたが、次の瞬間には二節棍を構え直していた。
あの長坂の英雄を相手にできるとは、そう機会はないだろうと思ったのだが。
劉備めがけて突き進むその力は、想像を絶していた。
槍の穂から身を守るのが精いっぱいで、上手く隙を見いだせない。
少しずつ後退していき、とうとう背水となり、凌統は意を決して上へ跳んだ。
「甘い!」
だが、すぐに追いつかれ、腹を抉るように槍の穂を叩きこまれて、凌統は地に沈んだ。
「ぐっ・・・くそっ・・・!」
混濁する意識を振り払うように体を起こそうとするが、上手くいかない。
趙雲がこちらに足早に近づいてくる。
首を獲られる、と思い目を閉じた。
しかし、何時まで経っても刃の気は動かない。
恐る恐る目を開いてみると、趙雲は目の前にしゃがみこんでそっと笑っているだけだった。
「この戦、私は殿をお助けするために参っただけだ。お前の命を奪うことは本意ではない。さあ、行け。」
「・・・ちっ、屈辱だね!」
一身是胆と謳われる男は、想像よりもずっと相当の男で、凌統は次こそはと思いながら、本陣へ撤退しはじめた。



22泣き虫凌統は「震」と「裏」と「決」を全部使って文章を作りましょう。

「甘寧、おい、甘寧!」
声が震えているのが分かった。頬も涙に濡れてる。
しかしどうして止められよう。
仇が傷ついて初めてわかった、自分の気持。
憎悪の裏に引っ掛かっていた感情は、口に出すにはおぞましいが、憎悪と決別する日は近いのかもしれない。
「起きろよ、起きろ・・・甘寧!俺、何にも始っちゃいないじゃないか!」



23甘凌は「聖」と「想」と「微」を全部使って文章を作りましょう

枕元に座り、寝台に広がる墨のような髪をひと房取り、唇を寄せた。
合肥で見た鬼人は、微かな寝息を立てて、未だ目を覚まさない。
凌統自身が生きるために得た体中の傷は、聖痕のようにも思えたが、きっとそんなことを言っても、失くしたもののほうが多いこいつにとって何の足しにもならないだろう。
早く眠りから覚めるように、眠りから覚めたこいつが少しでも楽になるようにと想いを寄せながら、もう一度髪に唇を寄せた。



24陸凌は「溶」と「中」と「罪」を全部使って文章を作りましょう。

炎が罪すら溶かしてくれよう。
手に持つ松明の明かりだけをたよりに、陸遜は邸の奥の奥へと向かう。
やっと手に入れた、彼の人。
どこにも、誰の目にも見せない、永遠に私の物にするのだ。
「凌統殿、こんにちは。」
そして私は、彼の人が待つ部屋の中へ入るのです。



25権凌は「起」と「暗」と「中」を全部使って文章を作りましょう。

始まりは、忘れたくても忘れられなかった。
真夜中に厠に立った孫権は、兄の部屋から奇妙な物音を聞いたのだ。
最近は兄の命を狙う者が多い。間者では危ないと、そちらのほうに踵を返した孫権は、部屋に入る数歩手前でぴたりと急ぐ足を止めた。
「ん・・・」
戸は開かれている。
ゆらゆらと揺れる炎が、別な動きをしている2つの影を作り、孫権の足元に落として蠢いていた。一歩後ずさる。
鼻を抜けるような声。そして、せわしなく聞こえる衣擦れと寝台の軋み。
己もそのようなことができる年ではあるが、こんなにも生々しい現場に出くわすとは思ってもいなかった。しかも兄の男の面を、垣間見てしまうとは。
顔も体も熱くなった孫権は早くに厠に行ってしまおうと、再びつま先をそちらのほうへ向けた。
「そ、孫策様っ・・・」
(え?)
その声は、女の声ではなかった。
聞いたことのある声。まさか、まさか。
心の臓が早鐘を打つ。まるで見てはいけないと警鐘が鳴っているようだ。
そっと戸の縁に手をかけ、音を立てないように片眼だけを戸の内部へと向けた。
「おい、伯符って呼べっていってんだろ!」
「ぁ、あぁっ孫、策様っ・・・」
悲鳴のような声を上げている兄の相手は、昼間に一緒に遊んでいた凌統・・・。
いつも綺麗に束ねた髪を寝台の上でいいように乱され、尻をあんなにも開かされ、凌統は泣いていた。
兄は常の戦のように、凌統を虐めているのではないかと思うくらい、獣のように暴れていて。いや、しかし、凌統の瞳は色に染まったそれでしかなく、孫権は己の内の何かが崩れていくような感覚に陥りながら、振り払うようにその場を去った。

その次の日も、次の日も。
孫権は凌統と遊んだ。
船に乗っては釣りをして、周瑜に勉学を教えてもらい、黄蓋に二人がかりで取っ組み合いを仕掛けては逆にいいようにされてしまったり。
昼間の凌統は快活で、夜の気配など微塵も感じない、むしろ純粋な子だった。
けれど孫権は、あの夜に見た強烈な色香を拭い去ることができずにいて、ぼんやりとする事が多くなった。
ああ、そういえば、凌統は朝に弱いと言っていたのは、あのせいなのかな・・・。

「どうしました?孫権様。」

周瑜に出された宿題を、孫権の部屋で二人で解いていた時、ふと凌統に顔をのぞきこまれた。

「あ・・・いや・・・何でもない。」
「ふぅん・・・。」
「・・・凌統、ひとつ、尋ねてもいいか?」
「え?何です?」
「お前はその・・・女性を抱いたことは、あるか?」
「えぇ?無いですよ!でも、そろそろやっとかないと馬鹿にされちまうし。ちょっと考えてますよ。」
「では、抱かれたことは、あるか?」

凌統の顔が一瞬無表情になったのを、孫権は見逃さなかった。
そして筆を置いて、いつも通り、にっこりと笑うのである。

「・・・見たんですか?」
「・・・。」
「孫策様から、誘われちゃって・・・。」
「・・・お前自身は、どうなんだ。嫌か?」
「・・・・・・・・・わかんないです。でも、拒めません。」
「そうか・・・。」

自分なら、どうするだろう。
あんな風に泣いている凌統を見過ごすことはできない。いや、もっと優しくできるに違いない。
いつも笑っているのに・・・悲しいのに笑っているだなんて、そんな寂しいことがあって堪るか。

「凌統、私と一緒に遊んでいる時は、楽しいか?」
「はい。特に、武の鍛錬は。孫権様、剣舞下手だから。」
「・・・。尚香にも言われことがある。」

そして、凌統は大きな声で笑った。
目尻に涙を浮かべる程に、笑った。笑いの種が種であるから、孫権は笑えないでいたけれども、段々どうでもよくなって一緒に笑った。

「・・・凌統、私はお前が好きだ。きっと、私は兄上よりもお前を大事にできる。」
「え?」
「私は、お前が泣いているのは嫌だ。お前が嫌ならば拒んでもいい。お前がしたいようにすればいい。」
「何を、おっしゃってるんです?」
「私と・・・その・・・夜を・・・。」

すると、凌統はぱちぱちと何度か瞬きをして、やがて再び大きな声で笑い出した。
そして、笑い疲れて腹を抱えながら言ったのだ。

「じゃあ・・・今度、慰めてくださいよ。」

再び目尻に浮かんだ涙は、笑いなのか嬉しさなのか、それとも虚無なのか。
孫権は分からなかったけれど、凌統に笑いかけるしかできずに、再び書簡に目を通した。


しばらくして、孫策は死んだ。
凌統が朝に弱いのは昔から変わらない。
戦に関わる軍議や行軍などは緊急の場合もあるから、いつでも出陣できるようにはしているようだが、深夜の軍議などでは、軍議中に居眠りをしている姿も見かけた。
さて、今の軍議だが、見事に空は真っ暗である。
孫権は陸遜の弁に耳を傾けながら、凌統のほうを見た。見事に眠っている。
しかし無理もない。
先ほどまで、自分の寝室であれだけ乱れていたのだから。

(起きたら、少し幕舎で寝かせてやるとしようか。)

そして、昔のように何か語らって二人で笑おう。



26丕凌は「変」と「香」と「罪」を全部使って文章を作りましょう。

労いの言葉を一つかける仕事だけでも、覇道を継ぐ者としての立場である以上、その数は毎日おびただしい数である。
(ふん・・・。少しばかり退屈を消化しても、罪にはなるまい。)
とうとう曹丕は、こっそりと宮を抜け出して街に出た。
罰を与えるのは己の役割であるのに変なものである。曹丕は一人薄く笑った。
街が何か賑やかで、そちらのほうへ歩いてみると、丁度どこかの地方からの使者達が大通りを歩いて城に向かっている所であった。
牙旗には孫呉とある。
そういえば、今日は孫呉の使者が来ると司馬懿が言っていたような気がする。
対応は司馬懿に任せようと思った時、使者の列の中にいた一人の男の姿に目を奪われた。
一際背の高い男は将軍であろうか。
その男が前を通る度、辺りからため息が漏れる様は、香りに吸い寄せられる蝶のようである。
「長江の花・・・か。孫呉にもいい将がいるな。」
矢張り、司馬懿に任せるには勿体ない。
曹丕は早足で城へ踵を返した。



27策凌は「溶」と「精」と「優」を全部使って文章を作りましょう。 

手を出したのは、上に立つ者風に言えば、ほんの戯れであった。
目元の泣き黒子がどんな風に溶けるのか、どんな風に喘ぐのか。それが知りたい。
ただ、優しくしてやる自信はなかったけれど。
「ぃ・・・痛いで、す・・・孫策、様っ」
初めて男を受け入れるのだろう。今まで何も言わなかったのに、こればかりは耐えられないと、懇願して歯を食いしばっている。
けれどそんな姿ですら、欲が疼いて、孫策は乱暴に腰を動かした。
息を飲む音、撒き散らす涙。
大丈夫。きっと凌統が精を放つのも、時間の問題。
そして、自分自身も・・・。



28陸凌は「断」と「舌」と「持」を全部使って文章を作りましょう。
断罪は私の役目です、凌統殿。
どうして私という者がありながら、あの男と繋がっていたのですか。
その舌で、腕で、足で。・・・体で誘惑して、開いたというのですか?
そうですね。貴方は素敵な色香をお持ちだ。
ですがわかりますよね?貴方は私のものなんですよ。
・・・覚悟はよろしいですか?



29策凌は「眠」と「中」と「濁」を全部使って文章を作りましょう。
孫策の沓音が遠ざかり、そして何も聞こえなくなった。
白濁に塗れて眠るのもこれで何度目だろうと、窓の外の暗い空を眺めながらふいに考えたが、数えても無駄だと思って直ぐに思考を巡らすのを手放した。
濃い雲と濃い霧で濁った空。
己の濁った瞳。
どこか似ているけれど、あの空を突き抜けた中に青空がある。
己もそうであることを願って、凌統は瞼を閉じた。



30呂凌は「快」と「楽」と「魔」を全部使って文章を作りましょう。

突然遊びに行っても、いつも呂蒙は快く迎え入れてくれる。
時に仕事をしながら、時に一緒に茶を飲んだり。
呂蒙と過ごす時は穏やかで楽しく、いつだって心地よかった。
「すまん、魔がさした。」
だから唇を奪われて謝られても、何も不思議に思わなかったんだ。






2より、諸葛亮と凌操がブイブイ言い始めます。