ヒメゴトは箱庭で

※現パロです。
※※R−18















今日も何事もなく1日が過ぎようとしている。
帰ってきて早々凌統は風呂に入りだし、甘寧はバスルームから聞こえるシャワー音を聞きつつ、テレビに映る下らないクイズ番組を流し見しながら煙草を吸っていた。
凌統の風呂はやや長い。
髪が長い分シャンプーに時間をかけてるのかと思いきや、ただ単に湯に浸かる時間が長いだけであった。
さっさと汗を流してさっさとあがる甘寧とは大違いである。
聞けば、ずうっと浸かってぼんやりするのが好きなのだそうだ。思い切り足を伸ばせるくらい広いバスタブだったなら甘寧だって一度はそうしてみたいものだが、悲しいくらい小さなバスタブなのである。ただでさえバスルームの天井に頭が届きそうなでかい背丈をした凌統なのに、あんなに小さな箱みたいなバスタブに収まると嫌が応にも小さく見える。
でも凌統はそんな小さな箱に入って、膝を抱えて背中を丸めるようにしているのが好きだというから不思議なものだ。

煙草を灰皿に押しつけ、(後で凌統がうるさいから)窓を開けて煙を逃がすと、甘寧は歯を磨こうとバスルーム横の洗面台にやってきた。
洗面台にのっているものはほぼ二人で共有している。何かの景品で貰ったキャラクターの書いてあるプラスチックマグも、歯磨き粉も、シェーバーも、石鹸も、櫛も。
唯一別なのはマグに刺さっている歯ブラシぐらいだけれど、それでも凌統と何かを共有している多さでいったら、多分世界で一番なのではないか。
歯ブラシに歯磨き粉を出し、甘寧は鏡に映った己でさえ凌統には触れられまいとフンと鼻で笑った。
ふいに横を見れば、洗面所に面したバスルームの刷りガラスドアに、立ったまま背を丸めた凌統の姿がぼんやりと浮き上がって見えた。
頭を洗っているのだろう、腕がそのように動いている。

「・・・。」

甘寧も歯を磨く。バスルームからシャワーの音が心地よく聞こえる。

「お!?」
「なんだよ、あんたいたの?」

突然勢いよくバスルームのドアが開いて、凌統の腕がにゅっと飛び出してきた。
何かを探すように空をひらひらと舞う凌統の腕は甘寧のわき腹や背中を柔らかく捉え、やがてこちらに怪訝そうな顔を向けてきた。

「お前こそ何だよ、何か探してんのか。」
「そこのリンス取ってくれよ。もう無くなっちまったから、取り換えようと思ってたんだ。」
「・・・おらよ。」
「どーも。」

そしてまた閉まる刷りガラス、甘寧もまたシャコシャコと歯を磨き始める。

(・・・。)

足が冷たい。凌統がドアを開いた拍子に水が撥ねたか。それとも、凌統の長い髪か腕から落ちた水滴か?
一時だけ目があった奴の姿は、残念ながら大事な所は見えなかったけれど、凌統の全裸の立ち姿は見事にバランスの取れた体型であり、濡れた黒髪は妖しさすら漂い・・・

(水も滴るイイなんとかってかぁ?でも、ソソるよな・・・。)

甘寧はうがいした水を乱暴に吐き捨てると、刷りガラスのドアを勢いよく開いた。





「ん・・・」

ほんの僅かに声を漏らしただけなのだろうが、それでもバスルーム全体に響き渡った己の艶声に、凌統は顔を真っ赤にして腕で唇を隠した。
甘寧が乱入した直後の凌統は、呆気に取られて声すら出ないようだったが、太い腕が己の裸体に触れた瞬間に、出ろだのやめろだの、いつものように喚きはじめたものだから、甘寧はそうでなければと目を細めた。
こうしていきなり襲われるのを、凌統はまんざらでもないと思っていることを甘寧は知っているからだ。

「こんな狭っ苦しいとこで・・・ッ!」

バスタブに無理矢理座らせた凌統の足の間に跪き、その乳首を吸い始めた甘寧の耳に凌統の声が届く。
それは一理ある。
でかい男二人が一緒に入るにはとても狭いバスルームだ。凌統と一緒に風呂に入りたいという夢すら浮かばないくらい狭い。今もまさに凌統の長い脚が壁にガンガン当たり、身動きが取りづらそうである。その分、密着せざるを得ないのは嬉しいが。
それに何より、一度燃え出したものは止まらない。
シャワーも湯が出しっぱなしで、ずっと甘寧の太ももを濡らしているけれど、止める暇すら惜しいのだ。
ふと視線を下にやると、半分ほど上を向いている凌統自身が目に映って甘寧は妖しく笑った。それに手を伸ばそうとしたら、さらにその下のほうに凌統が使っていたシェーバーとボディソープが転がっていた。

「・・・。」

いいことを思いついた。
甘寧は凌統から体を離し、凌統自身を掴もうとした手はそのまま下に落ちてボディソープとシェーバーを手にしたのだ。
ぼんやりと熱に浮いた瞳で甘寧の行動を追っていた凌統は、甘寧が己の下の茂みにボディソープを塗り、シェーバーを近づけ始めた所でやっと我に返って悲鳴のような声をあげた。

「おい!てめぇ、何する気だ!」
「まあまあ。傷つけるようなことはしねえよ。それに俺ぐらいしかお前のここ、見る奴いねぇだろ。一生生えないわけじゃねえしな。」
「そういう問題じゃねえよ、自分のでやれよ!」
「おい、すっかり萎えちまってるじゃねえかよ凌統さんよぉ、何事も経験だ。勘念しろ。」
「そんな経験なくてい、あ!」

じょり。

その音とともに、心の中の何か大切なものも一緒に刈り取られたような気がして、凌統はつい両手で顔を覆ってしまった。

「ああ・・・終わった、俺の大切なものがどっかいっちまった。」
「貞操なんかとっくの昔に無くしてんだろ。」
「そういうんじゃないっつの、なんかもっとこう、普通の人としてのなんかっつーか・・・。」

嘆く凌統の声など尻目に、甘寧は丁寧にしかし確実に、黒い藻のような毛の塊を根元から剃ってゆく。
何とも言えない音がバスルームに静かに木霊する。凌統は顔を覆ったままぴくりとも動かない。
こんな所の毛を剃ったことなど他人のものも自分のものもないが、どこか知っている感触だと思うのは、職業柄髪や顔の毛を扱っているからか。
ボディソープの泡の滑りもあり、段々滑らかな肌が現れてゆくのが少し楽しくなってきた。
何も無くなった部分を指で触れば、普段は毛に覆われていて陽にも当たらない部分なものだから、本当にツルツル、生まれたままの肌の質感である。
その間、凌統はとても静かにしていた。暴れるほどこの空間に余裕もないし、剃刀とはいえ小さな刃物。少し動いて剃刀で息子を切ってしまったらそれはそれで大変だ。別に傷付けたいわけではないのだ。
しかし、理由はそれだけではなかった。

(ん?)

剃るのに夢中になっていた甘寧は気付かなかった。
シェーバーを操る腕に何か当たったので見てみれば、再び半分ほど持ち上がった凌統自身がそこにいたのだ。
少し驚いて顔を上げると、凌統は未だ顔を覆ったままの指の隙間から、真っ赤に染まった頬とどこか熱を帯びた瞳でじっとこちらを見ていたのだ。

「剃られて感じるってお前そっちの素質があるのか?」
「っ誰がっ・・・」
「へっ。ま、あともう少しだからよ。」

凌統の足の間に膝をついて、奴の股を目の前にしている。
シャワーも出しっぱなしで、自分のジーパンもTシャツも何もかも濡れている。その上にはらはらと落ちてゆく細く微妙な長さの毛は、シャワーの作りだす微妙な水の流れに乗って排水溝に消えて行く。
ふいに俺は何をしているんだと我に返るが、上から凌統の細く長い吐息が頭に降り掛かると腕が勝手に動いた。
堪らずに目の前の内股に唇を寄せると、凌統は見事に飛び上がって一層息を荒くした。
凌統のこんな所もこんな姿も、見ることができるのは俺だけ?違うな。少し身じろきをしただけでドアを蹴破りそうな小さな空間で、凌統との秘め事を共有するだけだ。
そこでひっついてるだけだなんて、いつもシーツの上でしてることと、なんら変わりねぇじゃねえか、なあ?

「おら、全部綺麗にしてやったぜ。」
「・・・。」

見事に全ての陰毛を綺麗に剃りあげ、シャワーで泡を洗い落としてやると、ひときわ敏感になった肌に直接シャワーの湯が当たったからなのか、ふるりと凌統が震えた。
剃りあげてみても甘寧は特に嬉しくはなかった。むしろ見ているこっちが恥ずかしくなってくるような、見事なスベスベっぷりだ。
凌統も頑なに未だ顔を覆ったまま何も言わず、己の綺麗さっぱりっぷりを直視しようとしない。
けれど、やっぱり下半身は微妙に反応したまままで、むしろさっきよりも上を向いているではないか。

(こっちは正直なくせにな。)

甘寧は目の前で揺れている凌統自身を一気に根元まで咥えた。
頭上から、ああ、と甘い声が降ってくる。
絡みつくものがないから、鼻先に直に柔肌を感じながら強めに舌で押し上げてやると、背が綺麗にしなる。
顔の両脇にある太ももが痙攣し始めて、バスタブがベッドのように軋んだ。
凌統はいつの間にか顔を覆っていた手を口に移動させていて、でも切なげな瞳はじっとこちらを見ていた。
気づかれないように右手を忍ばせて、菊門に指を挿入すると凌統は身体を震わせてあっけなく果ててしまった。

「何だよ、剃ってる間おあずけ食らってた気分だったってか?」
(・・・俺もだけどよ。)

実のところ、甘寧自身もジーパンの前が窮屈で仕方がないのだ。
でも流石にもっと大きな動きをするには、シーツの海に飛び込んだほうがよさそうだ。
甘寧は、濡れた体のままの凌統をかついで、窮屈なバスルームから寝室へ逃げるように移動した。








すいませんごめんなさい。
こういうプレイが好きです。
ツイッターでの某様の発言に需要がありそうだと思い、ムハムハしながら書きあげました。
某様、ありがとうございました。