かくして捕まえたものは(現パロ R-18)






※R−18






凌統からの電話の内容は、大体アレ買ってこいだのコレ買ってこいだのという場合が多い。今回もそうだと思って、丁度煙草を吸おうと、美容室の裏口から外に出た甘寧は通話ボタンを押した。

「ンだよ。」
“・・・。”
「おい。」
“・・・・・・・・・。”
「おい、凌統!」
“・・・・・・か、甘寧?”

しばらく無音の状態が続いて何事かと考え始めた時、怯えた声が返ってきた。
いよいよ異変を察知した甘寧は、眉根を寄せながら携帯に耳を押しあてる。

「どうした。」
「い、いいから。今すぐ帰って来い。」
「・・・凌統、何があった?」
「いいから!早く!今すぐ帰って来いっての!」


そういうと、凌統は一方的に電話を切ってしまった。
強がりのあいつが、あんな風に怯えるなんてよっぽどのことがあったに違いない。
ストーカーが来たとか?そういえば最近、マンション近くを金髪の不審者がうろついているとか何とかいう噂を聞いた。
甘寧は冷や汗をかきつつ、陸遜に帰ると一方的に告げ、弾丸の如く走り続けて戻った。
1階エントランスを抜け、エレベーターに乗るのも面倒で階段を3つ4つ抜かして昇り、共同廊下から顔をのぞかせる。
すると、自宅マンションのドアの前に、凌統が膝を抱えて蹲(うずくま)っていた。

「どうした、凌統!」

凌統は顔をあげ、甘寧顔を見るなりその腕に追いすがるように掴み込んだ。
立とうとしない。完全に腰が抜けている。

「甘寧・・・!家の、家の中に・・・っ」
「家!?中で何があった!」
「あ・・・・・・口にも出したくねぇんだけど・・・」
「言え、凌統。言わなくちゃわかんねえだろ!」
「・・・・・・・・・・・・・ご・・・ゴキブリがっ・・・」
「・・・・・・・・・あ?」
「何度も言わせんなっつの!・・・ゴキブリが出たんだよ・・・。どうしよう、もう俺家に入れねぇ。」



え、ちょっと待て。
まさか、それだけのために?
え、ストーカーじゃなくて、こいつが腰抜かしたのは、ゴキブリ?
甘寧は盛大にため息をついて脱力した。

「・・・くっだらねえ。たかだか虫一匹に何してんだテメェ。」
「虫一匹っつったって、怖いもんは怖いんだ!あの黒い塊がカサカサ動いて飛ぶんだぞ!?・・・うわぁ、もう絶対部屋に入らねぇ!」
「もうどっかに逃げたかもしれねぇだろ。女みてぇなこと言ってんじゃねえ。俺がゴキブリ退治してやっからよ。」
「女みたいだって構わないね。あんた、フローリングであいつを潰す気かい?そんなことしてみろ、増えるかもしれねぇだろ。」
(増えるわけねぇだろうが。頭沸いたかコイツ・・・。)
「で?部屋に入るのか、入らねぇのか?」
「やだ。入りたくない。入るならあんた一人で帰れ。」
「メンドくせぇなぁ・・・。」

いつもなら女みたいだというと烈火の如く怒るくせに、むしろ開き直ってしまった。どうやら本気でゴキブリが嫌らしい。
甘寧はああそうですかいと呟いて、仕方なく未だ腰の立たない凌統の肩を引っつかみ、無理矢理歩かせながら、共に外に出た。



既に外はいい時間である。
取りあえず近くの寝れる場所をと考えたら、家近くのラブホテルに行きついた。
部屋に入ってからも、凌統はベッドの上で膝を抱えたまま少しも動かない。
仕方なく甘寧は、煙草を吸いながらドでかい液晶テレビをつけて、成人向けチャンネル(ピンクチャンネル)を見始めた。
部屋中に響く女の喘ぎ声。けれど二人の間に流れる雰囲気はそれどころではないというか、甘い雰囲気にすらならず、勃つものも勃たないほどであった。

(こんなとこに来ちまったんだから、どうせこの後ヤっちまうだろうが。)
(一方的に押し倒してもなあ。)
(こいつ、ヤる気ねぇ時は本気で萎えてるし・・・)
(あーあ、とっとと元に戻りやがれ。)

据え膳に手を出さない自分に感謝しろと言いたげに、甘寧は凌統の横にごろりと寝転がりながら、テレビのチャンネルを変えた。




凌統がやっと余所に目を向ける余裕ができて来たのは、チェックインしてから2時間後のことである。
しかも腹がぐうと鳴り、自分の空腹に気付いてからで、のそのそとベッドサイドの食事メニューを手繰り寄せて眺める。

「おい甘寧。俺カレーうどん頼むけど、あんたどうする?」
「俺もカレーうどんでいいぜ・・・。」

甘寧の声を受けて、凌統はフロントにカレーうどん二つと頼むと、やっとベッドの上に大の字になって大きく息を吐いた。
目の端に映る甘寧はベッドから降りて、テレビ横に設置してあるオトナのおもちゃの自動販売機を真剣な顔で覗きこんでいる。
また何かよからぬ事を考えいるに違いない。凌統は甘寧と、その脇のピンクチャンネルの姉ちゃんに背を向けるように、ごろりと寝返りを打った。

「・・・あんた、退治しに帰るんじゃないの?」
「あ?だって部屋で潰しちゃ駄目なんだろ?それに、気が変わった。」
「はぁ?」
「お前、バイブとローターどっちがいい?」
「え?え〜っと・・・・・・ていうかおい、何考えてんだよ。」
「いや、折角来たし「いやだ。」
「お前だって使ったことあるだろうが。」
「自分じゃ使ったことない!!嫌だっつったら嫌だからな!」

ていうか使うの怖いし、と思ったのは言わないでおいた。
ああ、やっぱり一人でどこかに逃げ込めばよかったかもしれない。いや、けれど、腰を抜かした状態で、一人で何ができただろう。
そういう点では、こいつが来てくれて本当によかったと思うのだけれど、根本的な問題は解決できていない。
凌統は溜息をついた。
その間も甘寧はボックスの中を品定めするのをやめない。

「おい凌統、だからよ、バイブとローターどっちがいい?」
「ああ、もういいよ。どっちでもいいっつの!」
「うーん・・・よっしゃ、ローターで。」

とうとう甘寧はボックスのボタンを押し、紫色の親指大のそれを手にしてしまい、凌統は逃げることもできずに、枕に顔を押しつけながらそっと溜息をついた。






「うるせぇな・・・。」

甘寧は唇を離すと、舌打ちをしながらテレビを消した。
家ではテレビがつけっぱなしでも、事に及ぶしそのまま終わるし気にしたことがないのに。

(ああ、女の子の声が邪魔だったのかな。)

嬉しいような、恥ずかしいような。
甘寧がテレビのリモコンを無造作に放り投げたのを、凌統はぼんやりと見ていた。
しかし、リモコンの電源をオフにした途端に、時々互いの舌を絡めあう時のぴちゃりと言う音が、大きく浮かんでは消えて、いささか腰のあたりがくすぐったくなった。そして、立ち膝のままの自分の腰に甘寧の太い腕が絡んできて、凌統はこの部屋が一体どういう場所かを思い出した。
身体を繋ぐ目的の場所、愛し合う場所。決して家に帰りたくない時の避難所ではないのだ。だから、甘寧の熱い肌が自分の肌を撫でるのは当然なのだけれど、別にこんなことがしたくて来たわけじゃない。

(でも、まあ、嫌いじゃないからいいけど・・・。)

凌統は、未だ自分の足に引っ掛かっていた下着を、膝立ちの姿勢のまま蹴るようにしてベッド脇に落とした。

「おい・・・っ、せめてさ、飯食ってからにしねぇ?」
「知るか。」
「腹減って・・・んぁ、動けねぇって。」
「俺も腹減ってる。」

甘寧の言う“腹が減ってる”とは、自分とは少し意味が違うと思う。凌統は目を細めるが、甘寧は既にその気になっているし、こうなっては最早何を言っても無駄だろう。
身を委ねるしかなさそうだ。
終わったら、カレーうどんを食べよう・・・。

「ん・・・。」

唇が肩から鎖骨へたどる。凌統は鼻から抜けるような声を漏らした。
首筋を上へ辿るように舐めあげてきた甘寧の唇を捉え、彫り物でざらつく背に手を回す。甘寧もまた、凌統の後頭部を撫でるように掌を這わせ、結っている髪の根元に指を指し込んだ。
そのまま強めに指を後ろに引かれると、留め具が取れて、長い髪がさらさらと肩や背中に流れ落ちた。

「っ!」

不意打ちで甘寧が中心をきゅっと握ってくる。小さく凌統は肩を竦めた。だが、待ち受けている激しい色欲を想像すると、これくらいでうろたえていてはいけない。深く息をついて、何とかやり過ごした。
凌統のそれは既に半勃ち、鈴口が先走りで濡れていて、少し擦られただけですぐに上を向いて甘寧の手を濡らした。

「おいおい、結構ヤる気まんまんじゃねえか、お前。」
「誰が・・・。」
「そのまんまの体勢でいろよ。」
「?」

ややあって、あたりに振動音が響きだした。
あの、さっき甘寧が買っていた紫の玩具だ。
凌統はやや驚き、目を丸くしながら甘寧を覗きこむと、甘寧はその手にしっかりとローターを持っていて、凌統を見上げながら薄く笑っていた。
やっぱり使うのかと思った反面、あれは冗談半分で買ったのだと思いたかった。しかしその小刻みの振動を実際目の当たりにしてしまうと、小さな玩具が凶悪なものに見えてきて少し腰が引けてしまう。

「それ・・・マジで使うのかよ。」
「あぁ?じゃあ何に使うんだよ。」
「何にって・・・」
「ま、多分痛くはねえだろ。」

とはいっても、やっぱり少し怖い。そういうプレイをテレビの中で見た事はあるが、使われた女の子は大抵悲鳴のような声をあげて酷く喘いでいた。多分、あの子たちは演技なのだろうが、自分だったらどうなるだろう。例え相手が甘寧であっても、これ以上自分をさらけ出して、みっともない所は見せたくないのに。

「っ!?」

突然びっくりするくらいの快感が電流のように身体中を駆け巡り、やっぱりやめろと言いたくて口を開いた凌統は、大きく息を飲み、ぎゅっと目を閉じた。
けれど、ローターを押しあてられたのは下半身ではなく、胸元の肉粒だ。
おそるおそる、目を開けて胸元のそれを見てみる。

(・・・。)

もし、これを下に当てられたら・・・?
怖さもあるが、興味も少しだけ沸いてきた。
鼓動が速くなっているのを感じる。
甘寧は、凌統の様子を伺いながら、手を出そうとしない。

「・・・く、癖になったら、あんたのせいだからな。」
「へっ、こんなオモチャに俺が負けるかよ。でもま、折角だ。楽しもうぜ。」

無音の中、ローターの振動音だけが室内に鳴り響く。
腹筋、足の付け根、内腿と、ゆっくりと甘寧が凌統の中心に手を持って行く。
そしてとうとう中心に触れた途端に凌統は、堪らず背を仰け反らせた。

「あ、あ、んうっ・・・ぁ、」
「すげぇな。一気に溢れてきたぜ。」
「言っぁ、あぁ!」

先端より少し下の裏筋あたりにローターをぴったりと宛がわれ、凌統はずっと背をしならせたまま喘いでいた。
止む事のない振動と痛いくらいの快楽とが同時に怒涛のように押し寄せて、唾を飲み込む暇すら与えてくれない。
濡れた唇を舐めようと、少し舌を出せば声しか出てこないし、凌統はただ、自分も一緒に強い振動に震えるしかできなかった。
膝立ちの状態も辛くなってきた。太ももを、冷たい何かが伝い落ちていくのがわかる。目の前の甘寧はただ自分を見ているだけだし、もう無理だと首のあたりに腕を巻きつけ、甘寧の肩のあたりに頭を凭(もた)れた。
が、それでローターが離れるわけでもなく。むしろ操っている甘寧は、ローターごと凌統自身を強く握りこむ。

「っ!!あ、あ!」
「気持ちよさそうじゃねえかよ、凌統。」
「は、ぁ・・・甘ねっ、ダメだっ、ぁ、コレ、止っ・・・」
「あぁ?止めて不満なのはお前だろ。」
「ぅ、あ、もう、イっ、〜〜っ、」
「・・・。」

さらに、こんなに喘いでいる凌統を目の前にして、甘寧はローターのスイッチを止めるどころか、そのまま手を上下に動かしはじめた。
2、3度。
首に巻きつく腕に力が入り、太ももが異様に痙攣する。
大きく仰け反った凌統の喉を甘寧はきつく吸い上げると、手の中のものが大きく脈打ち、ほぼ同時にどろりと濡れた。

「・・・。」

倒れこむように甘寧に身体を預けた凌統は、そのままベッドに寝かせられた。未だローターの振動音は鳴り響いているが、何も考えられない。
股間から腰、背骨にかけてがびりびりと痺れて、未だ振動に襲われているようだ。いつも以上に意識が混濁して、時折余韻に体を小さく震わせる。
一方で甘寧は堪らない。
自分はほぼ何もせず、喘いでいる凌統を目の前にして。しかも凌統は煽るように耳元で甘い声を出してくるではないか。
甘寧は凌統の長い脚を開き、身体を割り込ませると、力が抜けて柔らかくなっている尻たぶを割り、菊門にローターをあてがった。

「ぁ、甘寧・・・、今、ちょっと無理だって。イったばっかで・・・」
「黙れ。」
「ちょ、んんっ・・・」

凌統が果てた時の白いそれのお陰で、ローターはすんなりと沈んでいった。
体内のその振動に身を委ねるように、凌統は小さく体を震わせて、一度は萎えた中心も再び起き出す。
だが。

「っ!?ぇ、え!あ!〜〜っ!!」

ローターの後に、甘寧自身も凌統の中へ体を沈ませた。
さらに、ローターのリモコンで振動を最強にすると、凌統は声にならない声をあげながら大きく背中を仰け反らせる。
そして、甘寧も振動に負けじと凌統を揺さぶる。
凌統の中が、未だかつてないほど熱く、締めつけてくるのが何やらムカつく。
買って試してみたはいいけれど、いつもと別な顔をこんな親指大の奴に開発されて。
こんな奴に嫉妬するなんて、俺も相当癖になってるってことか。・・・なあ?

「ぁ、あっ、」

髪を乱して凌統が腕を伸ばしてくる。
苛立っていた甘寧はその腕を払いのけると、腕は弱々しくシーツの上に落ちた。
それでも、凌統は喘ぎながら甘寧の太ももあたりに指を伸ばし、僅かに触れてくる。

「甘ね・・・」
「・・・。」
「・・・っこ、これ・・・」
「あん?何だよ、気持ちいいってか?」

すると、凌統は小さく顔を横に振って。

「・・・あんただけで、いい・・・。」

思わず、甘寧は腰を止めて目を丸くした。
もう一度言ってくれと言いかけたが、凌統が長く震える吐息を吐きながら、涙の浮かんだ瞳でこちらを見ていて、全てがどうでもよくなった。

(へっ、お前も癖になってるもんが別にあるってか?)

甘寧は勢いよく凌統から離れ、中のローターを引きぬくと目いっぱい愛でてやろうと再び凌統の中へ飛び込んでいった。





結局、その場で二人は朝を迎えた。
しかしここへ来た原因の、家に未だ居座る招かれざる客の退治には、全くなっていない。
凌統は、朝飯のチャーハンを食べながらベッドの上で膝を抱えた。

「どうしよう、家であいつが待ってる・・・。」
「お前、今日会社だろ?だったらそのまま会社に行けばいいじゃねえか。」
「えっ・・・あんた、退治してくれんの?」
「まあ、別にいいけどよ。」

あんな虫一匹に怯えられて、ホテル住まいになるのも御免だしな、と甘寧は一服しながら肩を竦めた。

「あっ、やばい。もうこんな時間かよ。じゃ、色々頼んだ。いってくるぜ。」
「おう。」

凌統は適当に服を着て、軽く髪を直してそそくさと部屋を出て行った。
部屋は違えどいつもの朝と同じやりとりをし、甘寧は少しばかり眠るかと、煙草を灰皿に押しつけて大きすぎるベッドにもぞもぞと入った。

凌統が首にキスマークつけて出社し、他の社員からさまざまな目で見られ、後で酷い目にあうことは、この時の甘寧は予想すらしていなかった。














これは・・・どうなのでしょうか。
久しぶりにエロいのが書きたくなってやってしまいました。