凌統の紅茶王子×3/ぴよこ様より

鳥小屋のぴよこ様へ、まず「456凌統イラストをください!」とリクエストさせて頂いたのです。
そして、ドキドキしつつ、紅茶王子凌統のイラストを〜…と申しましたところ、快く描いてくださったのです!!
かばええええええ!誰か凌統っていう紅茶作れ!作ってくれ!必死に満月の夜を狙って紅茶煎れて呼び出すんで!
しかしまあ、3人もいたらよりどりみどりですよね。
呼び出すのは甘寧だと思います。
ぴよこさん、ありがとうございます!
これからもサイト運営頑張ってください!



ここから勝手にいらない妄想がはじまります。


星すら見えない満月の夜だった。
甘寧は、クラスメイトの尚香に誘われて、真夜中の公園で茶会に参加することになった。
2人は未成年なので、アパートの1階でカフェを経営している呂蒙を巻き添えにして。
甘寧は夜空を見上げた。
寒い夜だ。しかし、おかげで空気は天をも貫くように澄んでいて、見える月も白く美しい。
「ほら、早くしなさいよ!」
「へぇへぇ…しっかし寒いな…。おっさん、大丈夫か。」
「あぁ。しかし姫様…本当にやるのですか?」
「もちろんよ!」

尚香は、どこから聞きつけたのか、”カップに紅茶を煎れて、満月を映しながら銀のティースプーンでかき混ぜると、願い事を叶えてくれる紅茶の王子が出てくる”という微妙な話を持って来たのだ。
そして、話をするだけで終わるのかと思いきや、今日やることになった。
仕方なく、甘寧と呂蒙はそれに付き合うことになったわけだが、こんな寒い夜中に小さな公園に敷物を敷いて、持ってきたティーカップとティーポットを広げる手はかじかんで仕方がない。
呂蒙が茶葉の準備をする。
尚香は大きな瞳をさらに大きくして、その手際に見入っている。

「私、アッサムのミルクティーがいいわ!」
「わかりました。甘寧、お前はどうする?」
「あぁん?何でもいいけど…。何があるんだ?」
「そうだな、寒いだろうと思い、温まる中国の茶を持って来たが。」
「じゃあ俺それでいいわ。」
「2種類あるぞ。」
「じゃあ、こっち。」

ミルクティーをリクエストした尚香にアッサムを振る舞い、続けて呂蒙は2人分の中国茶を煎れた。
甘寧の茶は緑茶であった。少し匂いを嗅いでみるも、茶のことはよくわからないので、時々飲むその辺の緑茶と変わらないような気がした。
呂蒙の茶を見せてもらうと、それは赤く燃えるような茶で、飲むとジンジャーティーのようにポカポカしてくるのだとか。

「みんな、紅茶に満月浮かべたかしら?じゃあ、いっくわよ〜。」

尚香の声とともに、其々銀のスプーンでひとかき混ぜ。

「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・何も起きませんぜ。」
「え〜、やっぱり迷信だったのかなぁ。ちょっと期待してたんだけど。」

しかしその時だ。呂蒙が口元に持って行きかけたカップが突然小さく震えだした。

「んん!?」
「うお!?こっちも!?」

既に一気飲みして敷物の上に置いていた甘寧のカップもまた震えだし、ぽん、と小さな爆発音と少々の煙が3人を取り巻いた。

「げっほ…姫さん、おっさん、大丈夫か?」
「何ともないわ。何よ今の。」
「お、俺は大丈夫だが…その…ぬいぐるみのようなものはなんだ?」

呂蒙は顔を青くして、指さす手も震えている。
その指先を辿っていくと、甘寧のカップの上にポニーテールの中国の道着のような服を着ているものと、褐色の肌でヒラヒラとした裾の服を纏っているもの、ぬいぐるみのようなのが2体立っていた。

褐色のほうが小さくぺこりと頭を垂れる。

「私は陸遜の紅茶王子。私を呼び出したご主人様はどなたですか?」
「うわ喋った!」
「貴方、ですか?」
「ちちちちちちがう、こっちこっち!」

と、甘寧が呂蒙を指さすと、褐色の小人はぴょんとカップの縁から飛び降りて、呂蒙の前にやってくると、二コリとほほ笑んだ。

「私は貴方の願いを3つ、叶えます。何なりとお申し付けください。」
「陸遜と一緒に呼び出されるなんて…珍しいこともあるもんだね。」

そこでやっと、ポニーテールのほうが喋った。

「俺を呼び出したのは、そっちの子だよな?」

明らかに尚香のほうを向いているが、尚香は口をぽかんと開けたままものすごい勢いで首を左右に振る。

「え、じゃあ、お前かよ。どうして野郎なんだっつの…まあ、いいか。俺は凌統の紅茶王子。あんたの願い3つまでなら叶えてやってもいいぜ?」

なんて可愛くないやつなんだ…
しかしそんなことを深く考える余裕など、今の甘寧にはなかった。

・・・以上!お粗末でした!