煙に巻く(ppw トリアラトリ)


喫煙所にやってきたアラシヤマは、先客の顔を見るなりあからさまに顔を歪ませた。
先客も、アラシヤマを見るなりやや睨みつけて、再び目の前の壁を見つめる。

「・・・おつかれさんどす、忍者はん。」

声をかけてはみるけれど、トットリは何も応えずに煙を吐いているばかり。その煙も忍術に使えるんどすかと心の中で皮肉ってみるが、あえて口にするのも下らない。アラシヤマも黙って壁に凭れかかり、煙草を銜えて火を点けた。
トットリは一本を吸い終え、もう一本を唇に銜える。
懐から取り出したのはライターではなく、どこかの店のマッチだったのだが、もう中身がなくなってしまったらしい。煩わしそうに舌打ちをすると、こちらを見て口を開いた。

「アラシヤマ。」
「はい?」
「火ィくれっちゃ。」
「・・・ん。」

アラシヤマが少し指を動かすと、トットリの銜えていた煙草の先に火が点いた。
それを見たトットリはうわ、と目を丸くさせる。

「ライターぐらい持てっちゃ。普通に特異体質使うのキモい。」
「忍者はんなら火ィくらい出せるとちゃいます?それよりあんさん、煙草吸って大丈夫なんどすか?煙草は二十歳になってからどすえ?」
「僕ぁ27だっちゃ。」
「でも1ミリ吸うてはる。可愛らしいこっとすなぁ。」

クスクスと楽しそうに笑うアラシヤマにトットリは何も応えなかった。
その代わり、煙を吸っては吐き吸っては吐きを繰り返し、煙草の半分程を吸った所で灰皿にそれを押しつぶし、大きく伸びをした。

「・・・さて、お仕事だっちゃ。」
「顔だけの人とどすか?」
「僕一人だけ。さっきそこで突然頼まれたんだっちゃ。」

学会のパーティーに出席しているグンマが他国の暗殺者に狙われているらしい。
キンタローはシンタローのSPで不在。ジャンは新しい兵器の開発で動けない。特戦部隊や青の一族達は遠い国の戦線で戦っている。
そこで、たまたま手の空いていた自分に鉢が回ってきたというわけだ。
グンマも一応青の一族の端くれ、一応眼魔砲は打てるしそれなりの応戦はできるはずだが、如何せん泣き虫の甘えん坊の馬鹿息子。元総帥の息子が殺されたともなれば、自分の命もなくなるかもしれない。
ちなみに親友のミヤギは飲みに行くと言ってどこかへ行ってしまった。
ミヤギといると楽しい。顔はいいし、それなりに人づきあいもいいから、表の世界に行くと自然と人が集まってくる。
ミヤギ行きつけの飲み屋に一緒に行った事もあるし、綺麗なお姉さんがいる店にも行った。
クラブにも足を運んだし、音楽も聴きに行った。
が、ミヤギが行く所全てが自分に合うわけではなかった。

“僕はミヤギくんと違う。”

どんな場所が好きか。
例えば、動物が沢山いるような自然溢れる山深く。夜は夜でも、ネオンじゃなくて、静けさ溢れる暗闇が好きだ。
あんまり、人の多い場所に自ら行くようなことはない。任務は別だけれど。

(僕ぁ、やっぱり忍者だから)
(最初から暗殺が家業っちゅう奴だから)

ミヤギは「親友」だ。彼を見ていると、本当は殺し屋なんか向いていないんじゃないかと思うくらい、輝いて見える時がある。それくらい自分を引っ張ってくれる。時々、主従なんじゃないかと思うくらいに。
でも、僕が考える「親友」は、アラシヤマが思うやつよりずっと黒い。
陰と陽。

(本当は、陰は陽を「利用」しているだけ、なんて、いえないっちゃ。)

目の前で暗く煙草を吸っているNo2とは違う。
利用できるものがないNo2とは違う。

(ミヤギ君を殺せと言われたら、多分殺すな、僕。)

「ねえねえ、そこの根暗な人。」
「何どすか?童顔はん。」
「僕、友達になってあげる?」

驚いた顔をしたアラシヤマは手から煙草をポロリと落とした。
トットリはにっこりと、屈託のない笑顔で笑う。

「嘘だっちゃ。」

そしてトットリは、煙に紛れて一瞬のうちに部屋から出、腕を後頭部で組みながら廊下を闊歩した。


(あ〜あ、面白い。)





書いてしまったwww
南国少年パ●ワ君というか、その続きのPAP●WAのアラシヤマとトットリくんです。
この組み合わせが好きかなぁ・・・。
ちょっと陰湿なトットリ君が好きです。カップリングというよりは、ちょっと癖のある二人。
嫌い同士で、24歳と23歳(PAP●WA)になったら28歳と27歳ですが。
なんか、ねえ?w
あ、ちなみにグンちゃんは、無双でいう劉禅様みたいなものなので、時々見て癒される感じです。