不完全な社会不適合者(ppw アラトリアラ)



※R-18




いつもそうだ。
最初は南国のあの島で。その後は、浜辺を散歩している時、密林の中で修業している時。
気配に気づいた時は既に遅くて、燃えるように(実際燃えている場合もあるのだけれど)熱い掌で顎を砕かれると思うぐらいの圧力で口を覆われ、そして下半身の身ぐるみを剥がれて、突っ込まれる。
声は、出なかった。出せなかった。
口を覆う掌の圧力のせいもあったけれど、その熱さは読んで字の如く、喉が焼けるような熱さだったから。
それに。

「今誰か呼んでみなはれ、あんさんのこと、このまま焼き殺しますえ?」

そんな風に大嫌いな奴に耳のすぐ裏で囁かれたら、逆に声を出したくなくなる。
だからといって抵抗もしなかった。
自分も欲を吐き出したいからじゃあなくて、抵抗した所で一応ガンマ団No2の奴に背後を取られたからには、抵抗しても無駄だと理解していたからだ。
ただ、ミヤギくんにだけはばれませんようにと、トットリはそれだけを切に願った。

「ぅ・・・」

今日も。
あの島から戻ってきても、アラシヤマはトットリを襲うことを止めなかった。
海のある場所へ遠征に出向きアラシヤマと一緒に任務をしていて、熱い掌で口を鷲掴みにされながら、後ろから感じる欲望に、つい声が漏れた。
最中のアラシヤマは声は出さないが息だけは荒く、そして馬鹿みたいに自分相手に腰を振る。トットリは、こんな奴にもちゃんと人間の三大欲の一つが備わっていることを嗤いたくなった。

(結局コイツも人だっちゃ)
(自分以外はクズじゃのおて、自分含めてクズだっちゃ)
(クズだクズだ言うけど、自分もクズの一人だっちゅうこと、わかっとらんみたいだわいな)

そして全てを吐き出した後、アラシヤマはいつもすぐに身を整えて何事もなかったように去ってゆくのだが、トットリは初めてアラシヤマを呼び止めた。

「なあ、アラシヤマ。」

アラシヤマは、足は止めたが顔はこちらを向かない。ざ、と、波の音が聞こえて、ついあの島を思い出しながらトットリは薄く笑った。

「どうしてお前、僕を選ぶんだっちゃ。阿呆か?」
「・・・黙りなはれ。わてはそういう黒い所があるあんさんが嫌いどす。」
「僕も、自分を棚にあげてるお前が嫌いだっちゃ。今日も僕に欲の塊をぶちまけて、清々したなぁ?」
「あんさんが吐き溜めに見えたからどす。真っ黒のな。ゴミ袋は真っ黒でっしゃろ。」
「僕等のこういう関係、なんていうか知っちゅうか?」
「・・・。」
「セックスフレンドだっちゃ。お前の好きな“フレンド”って単語が入っとるねぇ?」
「・・・あんさんと、お友達になった覚えはあらしまへん。」
「僕もだっちゃよ?」

アラシヤマが勝手にやっている行為とはいえ、抵抗しない自分も自分だ。だから、多分そういう関係なのだ。トットリはクスクス嗤いだした。
そしてトットリは、箍が外れたように大声で腹を抱えて笑い転げた。先ほどアラシヤマが中に出した欲の塊が尻から流れ出てくるのを感じてさらに笑った。
生温かい、生ある証拠。
人間である証拠。
クズである証拠。
馬鹿だ、馬鹿だ。
きっと僕もこいつも、あの島の温かい空気に中てられて、馬鹿になったのだ。


いつの間にか、その場からアラシヤマはいなくなっていた。



そして、アラシヤマがトットリを襲うことはその日からぱたりと途絶えたのだ。







アラシヤマはそういう欲はあっさりしていて欲しいと思うんですが、
いや、ほら、●っクスとフレンドという単語があわさったあの単語の意味と関係を知った瞬間に手を引きそう。
で、トットリはあえてある意味禁句というか、バルス的な単語のそれでアラシヤマを退けるんです。ヒャッホウ