出陣B

現パロです。

帰る頃にはすっかりあたりは夕暮れ時になっていた。
商店街は帰り急ぐサラリーマンや買い物中の主婦、街をうろつく高校生などで華やいでいる。
そんな中、4人はふらふらと必死に家路を辿っていた。
そのうちの一人は、盛親が副総長と総長をぶん殴って蹴散らしたと同時に、栄養剤の効力が切れて地に沈んだのだが。

とりあえずかかってきた奴らは全部倒し、盛親も元気だということもあって一安心。
が、安心したら信親の腹が盛大に鳴り、忘れていたものを思い出してしまった。
空腹だ。
兄弟全員体格のいい長曾我部は、あんパン1個で持つほど燃費がいいわけではなく、盛親に至っては何も食べていない。
頼みの綱だった盛親は財布の中身はカラ。
とりあえず、倒れた親和は親忠が背負い込んで、本当の頼みの綱である元親が家に帰ってきていることを願って4人は歩いていた。

「あ。」

盛親が何か思いだし、隣を歩く信親を仰いだ。

「なんであの場所分かったんだ?」
「ああ、隆景が教えてくれたんだよ。」
「隆景が?」
「そうそう。あとで礼いっとけよ。」
「・・・・・・・そっか。」
「ねーねー、お腹空いたよ〜、和ちゃん重いよ〜、ここに置いてっていいかなあ?」
「いやいや、近所迷惑になる。」
「和兄、こっちによこせよ。」
「あら、盛ちゃんお兄さん想い。」
「うるせーキモイこと言ってんじゃねー!」
「うふふ〜、照れちゃって可愛い〜」
「死ねよ!!」

盛親が親忠の背中から親和を剥がして自分が背負うと、ずんずんと足早に先に行ってしまい、見慣れない頭をした親忠もその後を追いかけてゆく。
家まであと15分というところで信親は煙草に火をつけた。
肺一杯に煙を吸い込めば、淡いメンソールが空きっ腹の体に軽く響く。
その様子を遠くから見ていた末弟が長兄に叫んだ。

「信兄!歩き煙草はやめろよ!!」
「まあまあ、いいじゃんたまには!」

夕暮れ空にたなびく煙は勝ち戦の狼煙だ。
そうだ、帰ったら勝ち鬨変わりにCDでも聴こう。
信親は弟たちの後を追いかけた。







うちの信親は喫煙者です。